平成27年度 地層処分に関する学習会 活動報告

 平成28年1月16日,原子力発電環境整備機構(NUMO)の委託業務による原子力文化財団(JAERO)のご支援の受け,日本原子力研究開発機構(JAEA)が運営する瑞浪超深地層研究所の施設見学会に参加させて頂きました.

 学習会実施後の平成28年3月6日,全国から学習会にご参加された方々を集めて,意見交換の交流会が都内で開催されました.

瑞浪超深地層研究所 施設見学 (平成28年1月16日)

 見学会では,現場で働く主任研究員やOBのご講義や研究所内坑道見学などを実施しました.

  1. 主任研究員のご講義
      主に瑞浪超深地層研究所の成り立ち,地層処分の原理,研究の紹介について,ご講義頂きました.
      研究所のある東農地科学センターは,瑞浪市と土地貸借契約を締結しており,研究計画の終了と共に市へ土地を返却するという話は印象的でした.
      瑞浪市へ土地を返却する際には,掘削した研究坑道は埋め直し元通りに戻すことを知り,市との更なる調整が必要だと思いました.
      地層処分を実施できず,中間貯蔵によって廃棄物を放置しておくことは,費用面だけでなく,国際関係上もデメリットが大きいです.
      現在,我が国の高レベル放射性廃棄物は,フランスやイギリスの国内に置かせてもらっている状況で,この状況がずっと続くのは良いとは言えません.
  2. 坑道見学
      研究所のある坑道は深度 500mまであり,現地の研究員の説明を受けながら,深度300m ステージの研究アクセス坑道を見学しました.
      坑道は地層処分に関する研究だけでなく,地質調査,地下水の水質,微生物の生態調査など,多岐にわたる研究施設となっています.
      現在一時中断している掘削作業は途中段階であり,最終的には深度1000mを超えるまで掘削を続けると聞きました.
  3. 研究所OBのご講義
      地層処分技術についての技術的,制度的,社会的な多方面な観点から,ご講義頂きました.
      高レベル放射性廃棄物を遮蔽するガラス固化体の物理的,化学的性質や放射性の性質について説明を受けました.
      地層処分による1000年規模の長期保管により,金属などの産業廃棄物と同程度の放射能まで低下できることを,地中深くの高い安全性のある環境下で行えることを知りました.
      このような優れた科学技術を,専門外の一般人には技術力と安全性を説明することが大事だと思いました.
     瑞浪超深地層研究所と瑞浪市との契約関係などの制度的,政治的課題があり,更なる広報や PR 活動が大事だと思いました.

 今回,ご講義や施設見学を通じて,今まで詳しく知らなかった地層処分が十分理解でき,非常に勉強になりました.

意見交換交流会 (平成28年3月6日)

 意見交換会では,他団体の成果発表,NUMOの地層処分事業の取り組みについての報告,そして他団体との意見交換を行いました.

  1. 他団体の成果発表
     学習会にご参加された3団体から,成果発表が行われました.
     3団体のうち,2団体は学校教育に関わる学生と教員の団体で,残りの1団体は主婦の方々が立ち上げた子供の学習塾でした.
     その中では,学習会によってエネルギーや原子力について正しい知識を学ぶことができたという報告がありました.
     また,原発のある地元住民の声を聞く機会が必要である,教育の中では中立的な立場から子供を教育する必要があるなどの意見があり,今回の学習会のような学習の機会は継続して欲しいという報告がありました.
  2. NUMOの地層処分事業の取り組みについての報告
     NUMOの放射性廃棄物の最終処分場の選定や,処分施設の建設・操業・閉鎖などの事業説明がありました.
     2015年5月に閣議決定された最終処分法の基本方針では,科学的検証による処分場への適性の高い地域を科学的有望地として定め,国が全面に立って取り組みを進めていくことが決定されました.
     NUMOとしては,科学的有望地となった地域住民へのきめ細かい対応,対話の機会を積極的に取り組んでいくという報告がありました.
  3. 他団体との意見交換
     放射線の専門家や保全の技術者,商工会の実業家といった方々と意見交換を行いました.意見の中では,地層処分の認知度が低く,広報・PRが更に必要である,原発を立地している県のなかでも,地域間の原発に対する意識は全く異なる,原子力技術の正しい知識を分かりやすく伝えることが必要であるといった意見がありました.

 今回の交流会を通じて,普段触れる機会のない教育の現場でのお話しや,科学技術のわかりやすい説明の仕方などを知ることができ,貴重な機会となりました.今後も本学習会の継続を願う次第です.

 最後に,今回の学習会の機会を与えて頂いたNUMO,JAERO,JAEA関係者の皆様方に深く感謝申し上げます.

地層処分学習会(2015)修了証書